デッド・エンド岩の現状共有と御岳で登る皆さんへのお願い
2016年11月3日に御岳のデッド・エンドの岩に登りに行きました。岩の様子を見て思う所があったので共有します。
共感していただける方がいたら是非まわりの方にも教えてあげて下さい。
自分はクライミングを教える事を仕事にしてしまったので、記事の共有とか拡散のお願いというと仕事的な要素が入っているのではないかとか思われる方もいるかもしれませんが、純粋に岩を登る事が好きな1人のクライマーとしてこの記事を書いています。Facebookでのシェアやリツイートでなくとも、自分の周りに岩場に行くような人がいたらちょっとした話のタネにでもしてもらえて、少しでも岩場に行く人の意識に残ってくれれば幸いです。
最後まで読むのめんどくさいぞっていう人は
「登った後はちょっとでもいいからブラシでチョーク落として帰ろうぜ」
っていう事を覚えておいてもらえたらと思いますが、言葉だけだとちょっと伝わりにくいと思うので是非写真だけでも良いので流し読みしてもらえたら。
では本題に入ります。
下の写真を見て下さい。
【2016年11月3日16時頃に撮影したデッド・エンド岩の様子】
岩全体にチョークが雨で流れた跡がついていて、本来チョークがついた手では触らないような場所(写真下部の主にスタンスで使うような部分)の細かな岩の溝までびっしりと白いチョークに覆われています。
*到着直後に左上のリップ付近はブラシで掃除したのでそのあたりは流れた跡が薄くなっています
酸性雨で溶けた銅像とかこんな模様ついてますよね。
【リップ付近の拡大写真】
少しぼやけてしまっていますがリップが真っ白になっていてそこから下にむかって水が流れたような白い跡があるのがわかります。
【スタンス部分の拡大写真】
上から下までびっしりとチョークが雨で流れた跡があるのがわかります。
原因とか色々はとりあえず置いておいて、これどうやったら落ちるの?という話ですが、自分はブラシで地道に磨くぐらいしか思いつかなかったので手元にあったPAMOブラシで一生懸命ゴシゴシしてみたら結構オチました。PAMOすごい。
【ブラシでごしごしした後のデッド・エンド岩の様子】
上の写真と比べるとだいぶキレイになったのがわかってもらえるかと思います。リップ付近は掃除しきれませんでした。
【ブラシでごしごしした後のスタンス部分の拡大写真】
足元を拡大してみるとより違いがはっきりします。
【比較用】
左右に並べてみました。
左が掃除前、右が掃除後です。
というわけで岩場に行ったらついつい登るのに一生懸命になってしまうのはわかりますが、着いた時にウォームアップがてら、帰り際にクールダウンがてら、その後色々な人が登ってまたチョークが付くとはいっても自分が使ったホールドを磨くのに加えて雨だれ跡1本消して帰りませんか。手元のブラシでちょこちょこっと磨くと完全には落ちないですが、キレイになります。
来たときよりもキレイにして帰るのが自然の中で遊ばせてもらっている人の心意気だと思うのです。
自分が居た場所に自分のものではないゴミがあったからといって放置、ではなくてさらっと持って帰って捨てる人が格好いいじゃないですか。
というわけで御岳にかぎらず、岩場で登る皆さんは是非ひとつよろしくお願いします。
ここから先は色々と雑多に書いてありますので読み飛ばしてもらっても大丈夫です。僕が伝えたいのは上に書いた通り「自分が触った所以外もブラッシングして帰ろうぜ」という話です。
それでは更に細かいおはなし。
最近ジムで登っていて、ホールドのブラッシングをしない人が多いように思う。昔はみんな登れない課題があるとまず磨いていた気がするけど、僕の周りだけかな。そんなにしっかり見てるわけじゃないから実はみんな磨いてたりするんだろうか?
今ボルダリングを始めるほぼ全て(全てといってしまっても良いように思いますが一応)の人はインドアジムが初体験でしょう。そこでは必ずチョークを”すべり止め”として使う事を教わると思います。でも、ホールドをブラシで磨くと良いよって教わるタイミングってあんまり無い気がする。仮に初回のインストでそこまで喋っても覚えてない人が大半だと思うし。
改めて考えてみると結構少ないかも?ジムスタッフの目が行き届くジムであればどこかで苦戦したタイミングでブラシで磨くと良いよ、なんていう話が出るかもしれない。もしくは熟練者の人が教える文化がある場所では知識を得る機会があるかもしれない。けど自分たちだけでやっているような人って覚えるタイミング無いんじゃないかな。
あと、ホールド替えが頻繁に行われるジムが増えてきてチョークがべったりのっちゃってて磨かないとどうしようもない!なんていう状況が減ってきているから磨くという行為そのものが不要になりつつあるのかも。
でも、間違いなく全ての人がチョークを使うことは知っている。”すべり止め”として。
”すべり止め”という所にこだわってるのはPD9やロジン入りのやつはともかく普通の単マグに湿気を飛ばしてヌメリを抑える効果はあっても摩擦力がアップするわけではないというか、むしろまぶしすぎると逆にすべってしまうから”すべり止め”っていうのは言葉の意味としてちょっと違うのではないかなーと思っているからなんだけれど、PD9はじめ(何度もだしてすみません)”すべらない”事を謳うチョークも増えてきているから今ではあながち間違っていないのかな。
で、”すべり止め”だと言われて使っている人達は自然な発想としてホールドにもチョーク塗りたくなるだろうと思うし、むしろチョークは滑り止めなんだからブラシで落とすのは何故?とかなりそうだと今書いていて思った。ひょっとしてあいつホールドのチョーク落としてる!嫌がらせだ!とか思われたりしてるんだろうか。ひゃー怖い。
逆に僕はホールドは磨くものだと思いこんでここ10年登ってきたけれど、実はそれが間違ってるとか?いやいやー。さすがにそれは・・・大丈夫だと思いたい。
で、顕著にチョークがついていると感じたのは「勅使河原美加の半生(初段)」「デッド・エンド左(初段)」のスタートで使っているアンダーとそれら2つの課題でトップアウトする時に触るリップ。リップは今回僕は触っていないので感触までわからないけれど、スタートホールドに関しては岩の肌触りが感じられないほどチョークがべったりと付着してた。後、写真には写ってないけど「デッド・エンド横断(初段)」のスタートホールドも真っ白。
これらの課題を打ち込みたいぐらいの人にブラッシングの文化が浸透してないんじゃないかと思っていて、その原因の一つがジムでの教え方にあるんじゃないかと思う、というのが手前でだらだら書いた話のオチなんだけど、もちろんジムだけに限らず、雑誌とか、ネットとかも言うまでもないと思っているような部分を言っていかないと伝わってない人が増えているんじゃないかな。
いやいやうちはしっかりブラッシングまで教えてますよ!というジムももちろん沢山あると思っています。どこか特定のジムが悪いとか誰がどうとかそういう事は思っていないので気を悪くされた方はすみません。