2013 メモ

1手の重み

様々な方面から褒められて舞い上がって自分の実力が一夜にしてアップしたような気持ちになってよーしなんでも登れちゃうぞー、と鼻息荒くパン2に登りに行ったら完全にいつも通りの自分でした。こんにちは。

「一手の重み」に関してジャパンカップのまとめに書き忘れたのでそれについて。

ボルダリングの大会ではゴールを両手で保持したら完登、途中のホールドに設定されたボーナスを保持するとボーナス、としてそこに至るまでのトライ回数を競います。(違うルールもありますのでコンペに出る際はきちんと確認しましょう)

1. 何個完登したか
2. 何回で完登したか
3. 何個ボーナスを取ったか
4. 何回でボーナスを取ったか

の順に大事です。
Aさん 5完登 10トライ(アテンプト) 5ボーナス 10トライ
Bさん 4完登 6トライ 5ボーナス 5トライ
の場合Aさんの方が順位が上になります。4完登を少ないトライ数で達成したよりも5完登を達成したことが評価されるわけです。

さらに
Cさん 4完登 4トライ 4ボーナス 4トライ
が現れた場合、さらにBさんの順位が下がってA,C,Bの順になります。
Bさんの方がボーナス数が多いですが、Cさんの方が完登のためのトライ回数が少ないのでこちらの順位が上になるわけです。

で、話を戻して一手の重さについてなんですが、僕は今回ギリギリのところで2課題目のゴールを保持する事が出来たので2完登。でも、ギリギリで保持できなかったら1完登な訳です。当たり前だけど。

そうすると1完登3ボーナス。順位も大きく下がってしまう。想定ではBグループ内で30から37位に転落。トータルでは59位タイから72位タイに。

今度は保持出来たとしたら。5課題目にもっと最初から気合が入っていて全力が出せて完登出来たとしたら、3完登3ボーナスですからBグループ22位。これはもう完全に準決勝が見えてくるレベルですね。

上記は僕のケースでの想像の話ですが、上位に目を向けるとそんな1手の重さが良く現れています。

今回惜しくも準決勝進出を逃した新田君。彼のリザルトは4完登10アテンプト 5ボーナス11アテンプト。ですがグループ11位となり準決勝には進出できません。10位の藤井君は4完登10アテンプト5ボーナス7アテンプトで準決勝進出。

1課題目はふたりともB1T1。
2課題目で藤井君がB1 T4(ボーナスのアテンプト1回、完登のアテンプト4回)に対して新田君はB7 T7。
3課題目は藤井君がB1T0に対して新田くんがB1T1。
4課題目は藤井君がB3T4に対して新田くんがB1T0。
5課題目はふたりともB1T1。

トータルで
藤井君 T4(10) B5(7)
新田君 T4(10)B5(11)
* 括弧内はトライ数。

このボーナス保持までのトライ数の差が明暗をわけたわけです。厳しい世界ですね。

今回僕はジャパンカップに出場するにあたって、トライ数はともかく完投数を増やそう、という意識でいました。より普段の登りに近いリラックスした意識です。もちろん制限時間があるのであまり長く休むわけにはいかないし、時間が限られる以上回復力も限られるので結果としてトライ数も制限されるのですが、あまりそこを意識して緊張して強張るよりもリラックスして普段よりちょっと集中している、ぐらいのメンタルで出場しようと考えたのです。

結果として2課題目はラスト1分まで追い込まれたものの気持ち的には大きく崩れずに完登。逆に5課題目では気持ちを乗せきれずにボーナス保持まで8トライ、となりました。

僕はリードのコンペではひどく緊張してしまって、特に予選の1本目ではいつものような伸び伸びとした登りをすることができません。実力の3割程度しか発揮できていないのではないかと思います。これはリードのコンペではそのルートにトライ出来るのは1回限りでミスが許されない、という気持ちが強く、緊張を強いられるからでしょう。また、リードのコンペではスタートから何手先に進むことができたか、という勝負ですから先に進める1手1手が成績に直結するわけで、僕にとって1手に対する緊張が非常に大きい状態です。

対してボルダーのコンペではもちろんトライ数も大事だけれど、完登出来るかどうかの方が大事だし、もし完登を逃したとしても後半の課題で挽回するチャンスもあり、とまるで"逃げ道があるような気持ち"になるわけですね。(実際には逃げ道なんかなくて落とせる課題は確実に少ないトライ回数で落とさなければならないわけですが)

ということは今回は上手く登ることが出来たけれど、実際に準決勝が目の前にちらつき始めて、1手の重さがのしかかってきた時にリードのコンペと同じようにガチガチになってしまって良い登りが出来ないようになってしまうのではないかという心配があります。

まずは自分と向き合って何に対して緊張しているのかを明らかにすること、そして普段の練習から集中力を大事にしてこの場で落とせなかったら二度とトライしない、というような緊張感に慣れることで1手の重みと向き合って行きたい。そしてリードジャパンカップに向かいたいとおもいます。

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