[mountaineering] 槍穂高連峰ぐるり一周
書くのが随分遅れてしまいましたが、8/20から2泊3日で北アルプスに行った記録です。去年はソロで上高地から梓川沿いに槍ヶ岳に上がって前穂高岳、岳沢を通って一周したので、今年は逆回り。さらに縦走では初めて人と一緒の山行です。
行程
1日目 8/20 5:50 上高地バスターミナル-岳沢-紀美子平-前穂高岳(3090)-紀美子平-奥穂高岳(3190)-穂高岳山荘-涸沢岳(3103)-北穂高岳(3106)-北穂高小屋 17:05
2日目 8/21 5:30 北穂高小屋-長谷川ピーク(2841)-南岳小屋-南岳(3032)-中岳(3084)-大喰岳(3101)-槍ヶ岳山荘-槍ヶ岳(3180)-槍ヶ岳山荘-殺生ヒュッテ-ヒュッテ大槍-水俣乗越-ヒュッテ西岳-赤岩岳-大天井ヒュッテ-大天荘 17:49
3日目 8/22 4:51 大天荘-東天井岳(2841)-常念小屋-常念岳(2857)-蝶槍-横尾山荘-徳沢ロッヂ-明神館-河童橋 10:50
1日目
深夜バスを利用して新宿から上高地へ移動。車内は登山客でいっぱいだった。
去年来たときとあまり変わらない光景。
特に山ガールもいない気がする。
冷気を湛えた梓川。この川が好きな人が娘に梓と名づけるのも頷ける。
岳沢をつめる。去年は最後の下りでここを通ったので全く良い印象が無かったけれど、景色が開けているので周りを見る余裕があるうちは悪い場所ではない。
雪崩に流されたという岳沢ヒュッテが新たに岳沢小屋としてオープンしていた。でも、上から見るとやっぱり流されてしまいそうな場所なので来年もあるか心配。
岳沢小屋から上がってすぐに変な道に迷いこんでしまい、いらん藪漕ぎをするはめに。
特に難所もなく、前穂高岳山頂到着。直前まで晴れていたと思うのだけど、今年も前穂高岳山頂は雲に覆われていて景色は全く見えず。
穂高岳山荘で長めの休憩をとった後は再度気合を入れて北穂高岳に向かう。道中は大キレットに比すると言われる程の難所。クライマーにとってはなんてことない場所だけど。
コースレコード11時間35分の行程を11時間15分で北穂高岳に到着。夕日は見られないものの崩れもせず、テン場にツェルトを張って就寝。
2日目
行きの夜行バスですでに嫌な予感がしていたのだけれど、どうやら風邪をひいてしまったらしくひどい咳が出て夜は深夜まで眠ることが出来なかった。でも、この景色を見たら全ては吹っ飛んでしまう。
世の中すべての人がこの景色を見ることができたら、きっと世界はもっと素敵になれるんじゃないかって思う。岩も空も草も人も全てが太陽に染められていく。
待望の大キレット。まだ人影も見当たらないし、天気も最高で興奮する。
まずは下りがメインになる。その道中で足をおいた瞬間何かが飛び出してきたと思ったら雷鳥だった。
足元すぐ横の岩陰に隠れていたらしい。そんな目にあったのに特に逃げようとはしない。警戒心ゼロだし丸々してておいしそう。
クライマーにはなんてことなくても、高いところが苦手だったりすると結構苦労したりする。
何度見ても見飽きることは無い。去年に比べて雪渓が少ないけれど、その分草、岩、空のコントラストが目に刺さる。
岩に触れて登るって楽しいな。
槍ヶ岳名物の渋滞。孤高の人の撮影をしてたとか、岳の撮影してたとか、NHKが特集しに来てたとかっていう話が人々の口に上がる。山流行ってる。
去年は雲に隠れて全く景色が見えなかったけれど、今年はなんとか間に合いました。午前中快晴、午後曇りというのが今回の山行で3日共通してたパターン。槍は僕たちが降りる頃には雲に包まれてしまってギリギリセーフ。
時間が微妙だったので非常に悩んだのですが、去年と全く一緒なのは嫌だ!という僕の強い思いから大天井岳まで進むことに。槍ヶ岳から大天井岳までの行程は延々樹林帯な上、崩れてしまったのか急すぎるのか、梯子に次ぐ梯子で非常につらい行程でした。
また梯子。
さらに梯子。多分僕は自発的には二度と通らない道だと思う。
休憩しようとしたら目の前に大天井ヒュッテが見えて一息入れられたものの、大天荘までが思いのほか長くてヘロヘロに。それでも到着しちゃえばテント張って御飯作ってと体が動くのだから不思議。
コースレコード13時間30分の行程を12時間19分で到着。最後の喜作新道は最後の方はヘロヘロでした。人に誘われて山に登り始めて、ついに一人で大天井岳まで来てしまった!という女の人と少し話したりして元気補充。
三日目
相変わらず夜は咳が止まらないけれど、朝になって空を見ればそんな事は忘れてしまう。
帰りのバスが16時出発の予定なのに、上高地バスターミナルまでのコースレコードが13時間20分という事に改めて焦りを感じて大天井岳のピークも踏まず、日の出と共に出発。僕はほとんど下りだし、横尾山荘までの11時間50分の行程が半分程度で済むのではないかと思っていたけれど。なのでこっそり11時横尾山荘到着を目標にしていた。
大天井岳から常念岳までの山道は山歩きの楽しさを改めて教えてくれるような素敵な場所だった。アップダウンの少ない広々とした稜線上を登りつつある太陽と徐々に目覚める槍から穂高への稜線。
常念岳に到着すると多くの人が山頂を目指して登っていた。やはり大キレットなどがある槍穂高の稜線よりもなだらかな山道が続く大天井常念の稜線に人が集まっているようだ。
常念岳のピークを踏んだ後は本気で下りを駆け下りてタイムアタック。途中で山ガールっぽい格好の人たちが「あれじゃトレランじゃん!」とか言ってるのが聞こえたけど、トレランだってこんながれた道はかけ降りないんだぞ!って心のなかでつっこんだ。
折り重なる山々の間にうっすらと霞がかかる、なんとも日本的な景色が良い。蝶槍から横尾山荘への下りは延々と樹林帯が続く。先の見えない山道を歩くたびに、目に見える目標を設定し、そこに向かうことがどれだけ大事かを痛感する。デスマーチ怖い。
11時という想定を上回る速度で横尾山荘到着。でも、実はこの後微妙にアップダウンのある道を3時間ほど歩かないとバスターミナルにはつかない。かなり引き離したつもりだったのだけれど、同行者も1時間以内に到着した。横尾山荘についた一言目の「タクシーどこ?」は忘れられない。
河童橋に到着するとあたりは完全に観光地と化す。サングラス、ポロシャツ、チノパンといった出で立ちのいかにもなお父さんやサングラスを額の上に引っ掛けたお母さんが闊歩していて、登山者のほうが浮いてしまう。前回は本当に出し切った感じだったけれど、今回の山行ではまだ余力があるように感じた。自分の体の成長を感じることが出来るのは喜ばしい。