Margalef sport WCL観戦&スペインツアー2013

WCL観戦&スペインツアー その5 スペイン、マルガレフの岩場

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いよいよEl Laboratoriエリア。Margalefではここでアップして本気トライのLa Catedralエリアに移動というパターンで動いてました。到着するなりアダム・オンドラと出会う。前にOlianaで見かけた時はなんだかピリピリしていて話しかけられなかったけど、今回は和やかな雰囲気だったのでミーハー根性丸出しで一緒に撮ってもらった。顔小さい!

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さっこで暖を取る人々。僕達が来る数日前まで季節外れの大雨が3日も降り続いたとかで全体的にびちゃびちゃ、岩はだいぶ乾いていたのですが、取り付きに川が出来ていたり、粘土質の地面が水を吸って靴に付きまくるという感じでちょっと登りにくかったです。

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こんな感じで道路脇を登るのでアプローチ0秒だし、乾いていれば多分最高の環境です。車が意外と通過するのでビレイヤーは要注意!

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安間君が取り付いてるのは出だしがめっちゃ怖い7b+(5.12c 僕のトポにはまだ名前載ってない)。ちょうど写真に写っているこのあたりが核心で僕はここでフォール。

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スタートはこんな感じ。石を積んで写真の左手のガバを掴んだら地ジャンで右手を止めてスタート。さらにこの後白くなっているガバに右手を飛ばすんですが、この下は斜面になっていて落ちたら確実にどこか捻っちゃう感じでプリクリじゃないとかなり怖い。

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秀さんが突然「ボルダー的にZona 30 8b(5.13d) 11mやっちゃおうかなー」と言い出して結局数便でRP。ここぞの集中力と少ないチャンスをモノにする力は流石の一言。

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ここらへんには良い枯れ木が無くてプリクリップに一苦労?適当な枯れ木でプリクリしたら強く巻きすぎて木が残置されてしまった(笑

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いよいよやって来ました!今回のハイライト!この無限に続く岩場!ルートはどれも40m級でグレードも8台だらけ。すぐ目の前にある逆くの字の傾斜した岩の麓に安間君、野口さんがいるのがわかりますか?これがLa Visera de la Comaという今回のツアー最大のスケールを誇るエリアです。安間君のターゲットはTierra Negra 9a(5.14d) 50m。野口さんはEra Vella(5.14d) 9a 50m。秀さんはComa Sant Pere 8c+(5.14c) 50m

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Coma Sant Pereで最もムーブ強度が高いという1手。ですが、これはクビレの一番付け根の1手です。ここから長い旅が始まります。

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ルーフの取り付きにちょっとした高さの岩棚があります。がおー。

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デビルサキコ降臨!「ほれほれ、お前が欲しいのはこの手袋だろう??」なんて楽しそうな顔!

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Era Vellaにトライする野口さん。いつ撮っても絵になるなぁ。登りが綺麗なのかな。

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そしてこちらは僕が今回トライしたHard Krit 8a(5.13b) 40m。さっきまでの傾斜とはうってかわって薄被りのほぼ垂壁です。もちろんOSするつもりで取り付くものの中間部のちょっと遠い1手で手順を間違えてフォール。そして力尽きてしまってTO出来ず・・・。

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なんと!今回のツアー中に32歳の誕生日を迎えたのですが、サプライズでバースデーパーティーを企画してくれました!!!!全くそんな素振りがなかったので最高に嬉しかったー!

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誕生日プレゼントに身を包む僕。アワワが日本からわざわざプレゼントを持ってきてくれてました!そしてTシャツはみんなからの寄せ書き付き!最強の勝負T誕生です。大切に着ようっと。ちなみに手に持っているのは現地で買ってくれたアイスケーキ?と字が汚いのを心配してプレゼントされた漢字練習帳。

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公開していいものか悩みましたがOKだそうなので公開。お茶目(笑

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このオリジナルTシャツの背中には「Change the Future」という言葉がでかでかとプリントされてます。この言葉のルーツはというと。

ある日の外岩に向かう車の中のこと。「Change the Future」ってどこの会社のキャッチコピーだったっけ?という僕の何気ない一言からCMのキャッチコピー当てクイズがスタート。「Changes for the Better」三菱電機、「Designing the future」KDDIなどがあったものの、なんとキャッチコピーが「Change the Future」なんて会社はありませんでした!というわけで、CMでお馴染みの「HITACHI Inspire the Next」とか「make it possible with canon」的に「Change the Future Hiroki Ohta」という言葉が誕生したわけでした。どうか皆様このTシャツを見たら心のなかでそっとクスっと笑ってやって下さい。英語的に正しいかどうかは知りません。

さ、気を取り直して二日目行きますよー。
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トライしていたHard Krit、1日レストしたら残置ぬんちゃくが回収されてしまっていました!というわけでさっちゃんがアップでぬんちゃくをかけてくれました。ありがとう!

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さっこはLa Catedralの右端にあるUrbi et Orbi 6c+(5.11c) 22mでアップもかねてマスターでトライ。このルート、実は3ピン目のムーブがとても悪くてなめてかかると痛い目を見ます。

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さっこカメラの画質の良さに感動してちょっとカメラに目覚めつつある秀さん。翌日のトライに備えてこの日は完全にレスト。

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アワワもトップロープでトライ!するも下部の核心がが本当に難しい。

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むー、どうしたもんか。でも最終的にトップロープながら完登してました。さすが!足の怪我の影響を全く感じさせないクライミングですね。

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この日はまた一段と寒くて固まって暖を取る人々。軽いシュラフが1枚あるとなにかと便利、というナエさんの言葉で持ってきていたシュラフ大活躍!

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安間君がトライしているTierra Negra 9a(5.14d) 50m全景。この一番見栄えの良いラインを一気に駆け上がるルート。秀さんのトライしているComa Sant Pere 8c+(5.14c) 50mに対して手数が半分以下だとか。いかにムーブが悪くて上に上に進んでいくかということですね。

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この時点でランナウトしてるのにさらに数m上の終了点までクリップ無し!なんということでしょう。安定して見えるこの場所もほんのちょっとのスタンスにちまいホールド掴んで全然余裕無いみたいです。

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こちらはHard Krit 8a(5.13b) 40m、僕のトライ。1便目はTO出来ず。2便目は1便目と同じ所でフォールして以降は終了点まで各所で練習しながらの探り便。そしてこの3便目!初めて中間部にあるアンダーからの遠い1手が止まった!

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顕著に悪い場所は無いものの、各所にちょっと悪いムーブが登場します。これもその一つ。イマイチ効かないホールドを左手ガストンで抑えつつ右手をクロス気味に2本指ポッケへ!

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なんとか難所を突破してすぐ上に見えるコルネのレストポイントを目指す。

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レストポイント到着!2便目でここに来た時はガバなのにいまいち休みにくくて嫌な場所だなーなんて思っていたんです。でも!この次の1手が最後の難所!ここまで来て絶対に落ちたくない!!!と必死でレスト。今回のこのルート、今までで最も長時間レストしたルートだと思います。

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2本指アンダーポッケに右手を突っ込んで必死で足を高い位置に持っていきます。そこから渾身の力で左手を遠いカチへ!止めた!!

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でも指が2本しかかかってなくて体が持ち上がらないっ・・・!!そこを気合の叫びで親指を引き上げて握りこみ、練習通りの動きで足をどうにか良いスタンスまで上げてからこれまたちょっと遠いガバへ。終わった・・・と緩みそうになる自分にまだだ、まだだと言い聞かせてさらに数手進む。まだ終了点までは数手あるもののここから先は本当にどうミスっても落ちようが無いガバ。

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登れたんだ!

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やったぞーーーー!

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みんなのガンバの声が聞こえてた。それが本当に力になった!何度も何度も頭の中に生まれそうになるネガティブな考えを「出来る!絶対出来る!」って押し込んで、レスト中に休み過ぎて無いか、リズム崩れてないか、って不安な気持ちもみんなの声が大丈夫なんだ、休める時は休んで次に備えようって背中を支えてくれた。

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そして実は一番効いたのが、昨日もらったTシャツに書かれた「初8aRPおめでとう」のメッセージ。まだ完登してない、何トライもしていない時点で書かれたこのメッセージ。このTシャツを悲しいTシャツにしちゃ絶対に行けないんだ!僕は登るんだ!っていう強い気持ちを与えてくれた。みんなありがとう!!

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僕のRPを支えてくれた立役者の一人、焼石君。僕に力を吸い取られてもう一度再加熱しようとしたら割れてしまった(笑

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きたむーも一緒にトライしてた。一人だったらムーブ解決やイメージを固めるのにもっと時間がかかっていたと思う。複数人で1つのルートをトライするのって凄く大事だった。情報が共有出来て、核心部のムーブやスタンス、ホールドの話が出来ること、ある意味セッションの大事さを知った。

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ここが何度か跳ね返された核心のパート。頭のすぐ右側にある白い部分を右手で押さえて遠いガバに左手を進める。

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さっこも一緒にトライ。苦労したものの何箇所かある遠い部分も最終的に突破してた。

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コチラはEra Vella 9a(5.14d) 50mトライ中のあきよちゃん。

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土木工事に勤しむ(笑

実はこのエリアへのアプローチでは川を越えます。といっても普段は全く濡れずに越えられるほんとにちょっとした小川らしいです。この時は降り続いた雨の影響で初日はなんと膝下まで水に濡れて渡渉しました!その日が辛すぎてちょっとでも濡れずにすむように、と石を投げ込むのが習慣化。果てはこんなでかいのまで投げ込む大土木工事に。初日以降どんどん下がっていく水位と投げ込まれる石によって最終的に水に濡れずに川を渡れるようになりました。

ついでにおそらくこのツアー中で僕が最も全員の尊敬を集めた瞬間をご紹介!

水たっぷりに流れるこの川を見た時、当然「こんな川渡れるの!?」っていう話になるわけです。そこで率先して僕が突入。小川山の雪解け水を想像していた僕は「思ったより冷たくない、余裕で渡れますよ!」とパーティーに報告。しかし皆さん、体脂肪率計測不能系のトップアスリート達です。つまり、水の冷たさから全く保護されないわけですね。水に足を浸して阿鼻叫喚、あの安間君が「あの瞬間Tierra Negra登らなくていいか、って思った」というほどの衝撃。

そんな中、最初から最後まで皆の渡渉を水に膝まで浸かりながらサポートする僕!そして最後に陸に上った僕に向けられる尊敬の眼差し!もちろん帰りも率先して水に入って万全のサポート体勢です。何かを極めるということは他の何かが出来なくなるということなんだなー、と脂肪の力を思い知った一コマでした。

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この日は男性陣が料理当番。特に誰がやる、とうわけでなくてなんとなく皆率先して料理は作ります。みんなでキッチンにいるとなんとなく楽しいですよね。

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実は僕、Kranjに居た時から毎日朝晩走ってました。20分ぐらいなんでほんとに軽くですけど、体重の管理には大変役だったと思います。

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そしてなんとこの日は秀さん、さち、あきよの3人も参戦!と喜んだのもつかの間。アパートのすぐ横の坂にむけて走りだす僕、下から数mで力尽きて折り返す3人。いやいや、何かを極めるというのは本当に大変なことです。僕はその覚悟が出来ているのかな。

子供なら、クライミングが強くなりたい、という過程で自然とやっていない、出来ない事が増えていくかもしれません。でも、僕は既に色々な事を経験しながら大人になってしまった。クライミングの能力を突出させるということはそれと引き換えに何かが出来なくなるということなんだろう。そんな事を考えたスペインの夜でした。

さて!スペインMargalef編はコレにておしまい。
次はレスト日にアンドラ公国でのプチ旅行を挟んでツアー最終のSiuranaの岩場です!お楽しみに!

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