コラム column

人生のものさし

将棋の羽生さんのエッセイを読んだ時に心にひっかかったのが長いものさしを作りなさいという話。
3年かけて達成したなにかがあれば次になにかを始めた時に例え1年目で成果がでなくても3年頑張る事が出来るからと。
概ねこんな話だったはず。(全然記憶違いだったらごめんなさいw)

クライミングをし始めて、初めて自分の意思で遠くの目標に向かって動き始めたような気持ちでいる。
子供の頃も色々あったとは思うけど1年を超えるような長大な目標はあまり記憶にない。
中学受験したので3年ぐらいはそれに向かって動いていたはずなんだけど、これはほぼ僕の目標というより母親の目標だった。

最初の目標として一番覚えているのは忍者返しの完登と腕試し(ボルダリングコンペ)での決勝進出。
5月頃から目標として掲げはじめて5ヶ月後に達成。
あとは12aだったり12cだったり、13aだったり、リードでの目標設定だったり、大会の準決勝進出や決勝進出といった目標かな。

あ、1級登った後は初段登りたい!と思っていたけれど、結局2年ぐらいかかったみたい。
リードでは13aかなぁ。意外と岩場ではカリスマの完登はそれほど時間がかからなかったように思うけれど、パン2で13aを完登するまではものすごい長い時間がかかった。と思ってたけどこれも見直してみたら12c完登から5ヶ月で達成してるな・・・・。しかもその1ヶ月後に13b完登してるっていう(笑)

それが2013年の事。その年の事かなぁ。13cがなんとしても登りたくて、登れなくて、黒いホールドで構成された松島暁人さんが設定した13cで上部でポケットへのデッドがあって、それが下からつなげるとどうしても止まらなくて、海外旅行にいった帰りにパン2に寄ったりしてた覚えがある。

大会に関しては30歳の時に5年以内という目標設定をして日本代表を目指してトレーニング本格的に始めた。
結局それを達成する事はできなかったけれど、30年間生きてきて僕がたてた目標の中で一番長いものだと思う。
それが2011年から2016年にかけて、僕が30歳から35歳の時の話。

達成する事はできなかったけれど、そこを目指して努力した経験は僕の中にとても強く生きていて
成長が感じられなくて挫けそうな時や自分がやっている事が信じられなくなりそうな時に僕を支えてくれる。

飲み会続きで体が疲れていて、体重も明らかに重く、コンディションが悪いような日にパンプの13cがこれまでで最も高度が進み、完登の可能性がわずかながら見えたりする。日々の体調・体重の変化なんてその程度のものだ。遠い目標に対して日々積み重ねている努力はたった数日の不摂生で無になったりはしない。

もっと自分がやっている事を信じてもいいのだ。

目標は人に言ってこそだと思っているので今ちょっと上がっているテンションにまかせて書いてしまう。
2019年に岩場で5.14aを完登する。

そして、本当は期限を切らなければいけないのだが、今は想像もできないぐらいはるか遠くの話なので、期限を切らない僕をお許しください。
僕は9a、そして9a+が完登したい。
デシマルに直すと5.14d、5.15aが完登したいということだ。

これは目標ではなくて夢だ。
魔法使いに成りたいと口にするよりはちょっとだけまし程度の話だ。
4段のボルダーを当たり前に1撃ないし数撃以内に落とし、多少時間がかかっても複数の5段の課題を完登するだけの能力があり、かつそれが何個も連続してもこなせるだけの耐久力があり、そしてその課題に打ち込む環境を作ることが出来るだけの能力が必要だ。
でも、僕はその世界が見てみたい。

書いてしまった以上もっと超真剣にこれを達成するためにどうしたら良いか考えてそれに向かって動いてみよう。
多分人生最長のものさしになるだろう。
でも、なんだかそれはとても楽しい事のように思う。

-コラム column